「どうして人は走るのか」
「どうして人は山に登るのか」

運動は一般に体に良いと言われていますが、
なぜ、どうして、どの様に、等と
具体的な理由付けを求めらると中々簡単には行かない気がしている。
運動習慣を持っている人が体験的にメリットを感じていても、
運動習慣を持たない人にそれを伝える道具が中々ない状況で、
突き動かされるような、腑に落ちる説明は、
これまでなかなか難しかったのではないだろうか。

しかも世には、「運動は体に良くない」といった言説すら有るほどで、
便利な世の中になり、殆ど体を動かさなくても生活が出来てしまう現状を何とか肯定したいのか、
「運動しない理由」を求めているのではないかとすら思えて来る。


ジョン J. レイティ (著) NHK出版
『脳を鍛えるには運動しかない』は、
体や心だけでなく「脳」への運動の影響を軸に、
運動が如何に人生を豊かにするかを専門知識をベースに明快に解き明かしてくれる。

客観的なデータに基いて示された説得力は圧巻で、
学習への影響、心身の病や老化への影響など、
正に「生老病死」の全側面において、
運動ほど頼もしい習慣はないのではないかと思えてくる。

具体的な運動としては、
・有酸素運動(ウォーキング、ランニング、エアロビクスなど)
・筋力トレーニング(ダンベルやトレーニングマシンなど)
・バランスと柔軟性(ヨガや空手、ダンスなど)
といった物をバランスよく取り入れる事が理想的だが、
出来るものから、やりたいものから、無理のない範囲で始めることがまずは大事だし、
ほんの僅かな運動でも、何もしないよりは圧倒的にメリットが有ることを、
正しく認識しておきたい。

個人的には、比較的、無理のないペースでの長距離走が多くなっているので、
短距離ダッシュや、より複雑な運動を取り入れて行きたいと思った。

原題「SPARK」には発火のほか、生気というニュアンスの意味を有るそうで、
「運動で脳を発火させて、生気を取り戻せ!」といったメッセージになる様だ。

運動へのモチベーションを高めるのに最適の一冊。

これから運動を始めたい方だけでなく、教育や医療に関わる皆様には、
職業的な付加価値になるヒントが沢山得られると思うので、
是非、ご一読頂くことをお勧めしたい。

☆行動のヒント
・運動しないことの方が不自然である
・ストレスや運動による刺激は、脳への効果的なスイッチになる

最後までお読みい頂きありがとうございました。

宮木俊明