2023年8月6日(日)13:00〜14:30
まなクル井土ヶ谷
主催:東京ハートラボ
ファシリテーター:宮木俊明(親子の休日革命・代表)

2023年8月6日(日)、「心臓」に関するプロが集結し、「生きているってどういうこと?」「いのちってなんなんだろう?」こんな興味に対する回答を体験的に学べるワークショップとして「プロがガイドする♡心臓ってなんだろ?」を開催致しました。
横浜・井土ヶ谷にある大人も子どもも楽しめる学びの場「まなクル井土ヶ谷」をお借りし、充実したイベントになりました。(普段はコワーキングスペースや教室として利用されている、写真の通り、とても素敵な空間です☆)


「心臓」を身近にする3つのコンテンツ

13時からスタートした当日。10組以上の親子にご参加頂き、3グループに分かれて、グループごとに順番に以下の3つの体験をしていただきました。

①話してみよう (ぬりえ)
 心臓について、心について、自分の言葉で説明してみよう
 (EQ:感情知能の専門家が提供する塗り絵やクイズの楽しい時間!)

やってみよう (しんさつ)
 本物の病院の医療機器で、お父さんお母さんを診察してみよう
 (現役の医師や臨床検査技師が伴走する本格的な診察体験!)

感じてみよう (こどう)
 自分の心臓を光で感じるアート作品を、一緒につくってみよう
 (現代アーティスによる暗闇に浮かぶ光る鼓動の感動体験!)

①話してみよう

ひとつめの「はなしてみよう」のコーナーでは、クイズやぬりえを使って心臓や「こころ」について親子で楽しく理解を深めました。

※クイズのコーナーでは、心臓に関するクイズを「心臓のプロ」である東京ハートラボメンバー(医師や臨床検査技師)から出題します。心臓が動く速さや大きさについて他の動物と比較したりする問題。大人にとっても難しい出題もあり、とっても盛り上がりました。

※塗り絵のコーナーでは、EQ(感情知能)の専門家でもある私(宮木)がリードし、自分の「きもち」を「ハートの塗り絵」として表現し、親子で質問し合うことで相互理解を深める時間を過ごして頂きました。

②やってみよう

ふたつめの「やってみよう」のコーナーでは、病院で実際に使用されている「聴診器」や「エコー(超音波検査)」を使って、子どもたちが自分の親の診断をして、問診票を作ってみる体験をしていただきました。

※東京ハートラボのメンバー(医師や臨床検査技師)が寄り添うことで、専門的な機器も扱えちゃいました!

※「お父さんの心臓めちゃくちゃ動いてる!」驚きとワクワクで自然と笑顔が溢れます☆

③感じてみよう

みっつめの「かんじてみよう」のコーナーでは、現代アーティストの松島宏佑(KODOU CEO)さんが提供する体験型アート作品に参画する特別なセッションをご提供頂きました。

暗闇に浮かぶのは、自分の心臓の「鼓動」に合わせて明滅する装置。参加者それぞれの拍動に合わせて明滅する光を見つめながら、、、非日常の体験から「ひとりひとりの鼓動」という視点で、命の尊さを体感頂きました。

親子で学び合う

今回、医療者のコミュニティとしての東京ハートラボの活動を基軸に、「心臓」という自然科学での捉え方、「こころ」という人文科学での捉え方、そして「KODOU」というアートとしての捉え方という、3つの視点から「ハート」について、親子で学び合うき機会を提供させて頂きました。ご参加頂いた皆様からもとてもあたたかいお言葉を頂いており、感謝しております。

最後に、なぜこの様なイベントを開催したのか? 私なりに、以下の3つの観点で振り返ってみたいと思います。

①リスキリングと子育て

変化の激しい時代において、自らのスキル向上を職務経験のみに預けるのではなく、より積極的な「意図的な能力獲得」が必要とされております。特に、複雑化・多様化する社会の中で、対立する利害や個別化する要望に合わせて、様々な職種において、「対話」の重要性が叫ばれております。これは医療の世界でも同様であり、むしろより色濃く必要とされていると感じてもおります。しかしながら、この様な環境の変化に合わせて自らをアップデートするような時間を設けるのは容易ではなく、特に子育て世代にとってその様な時間を捻出するのは容易ではありません。
「自らのリスキリングの場に子供を連れて行くことができたなら・・・」
そんな気持ちに答えるために、私は今回の様な「親子で学び合う機会」を提供する活動をライフワークとしております。

②教育環境

グローバル化や急速な情報化、絶え間ない技術革新、それらによる人々や社会の意識・行動・生活の変化を捉え、子供たちがこれから生きていくために必要な資質や能力についても見直しが迫られています。

実際に、現行の指導要領では「主体的・対話的で深い学び」が重視されています。
これは、少し皮肉な表現をすると、私を含む親世代が受けて来た教育が、当時のベストであったとしても、今から振り返ると、「受動的・一方的で表面的な学び」に留まっていたのだと言い得ると思います。

この新たな教育環境に置いて中心となる考え方は「生きる力」。これは社会課題を解決するビジネスを生み出していく力であるとも言えますが、これから学ぶ子どもたちにはもちろん、親世代にとっても自分が子どもの頃には学ぶ機会の少なかった観点です。これを親も一緒に学び、実践していくことには大きな価値があると言えるでしょう。

今回のワークショップのように、共に新しいことを、親子で共通の体験として理解し合える場に大きな価値があると考えております。

③多様性

SNSに代表されるコミュニケーション・プラットフォームの常態化により、老若男女問わず手軽に多彩なつながりをつくることができるようになりましたが、「外向きに着飾った人々」を表面的に触れる機会が増えただけで、「リアルな日常や内面に触れる機会」が減ってきていることは、とても考えさせられる状況です。

自身の子どもたちも、日常的に接するのは「学校の先生」「塾や習い事の先生」「自分の親」くらいであり、社会を構成するより多様な人々と接する機会が、極めて乏しい状況にあります。これは昨今のコロナ渦において更に加速しました。

このような多様性に乏しい閉塞感を打開していくアクションとして、私は、子どもたちだけでなく、「複数の親子が一緒に学び合う」ことが、ひとつの解決策になると信じています。
そのための独自の工夫として、今回もワークショップの途中で「親子の組み合わせをかき混ぜる」プロセスを取り入れました。

自分の子どもだと、どうしても自分の思い通りにしようと、善意ではあっても強制力を働かせてしまいがちです。(自身も身に覚えがございます……)
しかし、他人の子どもには、驚くほど冷静に、そして容易に、あたたかいコミュニケーションを取ることができるものです。

今回のワークショップでも、親子の組み合わせをかき混ぜたタイミングで、会場全体の雰囲気が劇的に変化したことが感じ取れました。

多様な親子が触れ合うことで、閉塞感が打破されただけでなく、特に親側の内省機会につながったことなど、多様性に触れることの効果を改めて確認することができたのです。

今回のワークショップにつながる、大人も子どもも一緒になって学び合う場を提供する活動は、2017年に「親子の休日革命」としてスタートしました。
この活動は、ノーベル平和賞も受賞されたムハマド・ユヌス博士のソーシャルビジネスコンテスト、YYコンテストの2019年グランドチャンピオン(日本一)にも選定いただきました。

2020年から東京ハートラボの運営に関わらせて頂き、オンラインコミュニティを立ち上げ、そのコミュニティのメンバーと共に親子イベントを3年連続となる夏休みイベントとして無事に開催できました。しかも今回は初のリアル開催が実現し、本当に嬉しく思っています。ご参加いただいた皆さまはもちろん、コミュニティの個人会員の皆様、シニアフェローの皆様、ご協力いただいた、まなクルの皆様、KODOUの松島様、誠にありがとうございました!

今回は「心臓」をテーマに取り上げましたが、さまざまなテーマで「親子で一緒に学び合うワークショップ」をこれからも多くの皆さまとご一緒できたら嬉しいです。少しでもご関心をお持ちいただけましたらなら、いつでもお気軽にご連絡ください。

引き続き、皆様とご一緒できるのを楽しみにしております!

最後までお読み頂きありがとうございました☆

宮木俊明