モノ売りからコト売りへ。

製品開発の現場では、
UX(User Experience)等のキーワードにも代表される様に、
「製品・サービス」自体ではなく、
それら通じてユーザーが得る「体験」に着目することが重視せざるを得なくなってきている。

そのこでは、ユーザーへの共感が必須であり、
ユーザーの「感性」という謎めいたブラックボックスに向き合わざるを得ない。

一方、セールスやマーケティングの現場においても
旧来の手法は年々通用しづらくなってきており、
構築したブランドも、カスタマーレビュー等による「顧客の声」の即時共有の前には
その効果も大きく霞んできてしまっている。

ユーザーがどうしてその商品を手にするのか?
ここでもやは、ユーザーへの共感が必須であり、
目には見えない「心の琴線」のどの弦を響かせに行くのか
暗中模索を続けるしかないのだろうか。

村田 智明 (著) 生産性出版
『感性ポテンシャル思考法 ゼロからのイノベーション』
は、「感性」という構造化が極めて困難な謎めいたものを
「見える化」することで、顧客との共感をするための足場を作り、
「感性」をベースに既存事業のブラッシュアップや、
新規事業・新製品サービスの創出する手法を提案している。

ビジネスの成功要因は「感性」に向き合うことであり、
そのプロセスこそが「共感力」を鍛える事に繋がるという。

これはいわゆる「デザイン思考」と通じる考え方であるだけでなく、
「共感」という分かりづらい所を補完する意味合いを越えて、
感性を要素分解することで「方向性」を見出す事を可能にした点が画期的である。

ユーザーとの出会いのタイミングから、より深く知ってもらい、
購入決定をしてもらい、届けられ、実際に利用され、
その後の関係性を育んでいき、ブランドとして認識されるに至る、
そういったホールプロダクトをこの「訴求すべき感性」に整えて行くこと。

これは、ペルソナ法やジョブ理論にも見られる考え方だが、
本書には「デザインとは編集作業である」とある通り、
どこに向かってどの様に「編集」するかという具体的な指針が得られれば、
デザイナー任せにせずに「共感ベースの組織」として組織開発にも役立つ気がした。

タイトルでも有る「感性ポテンシャル思考法」は、
「潜在的な共感力を引き出す手法」と受け取ったが
本書ではこれがビジネスの成功要因であるとされており、
これを高める方法として具体的に
意外性、組み合わせ、多様性、視点の見直し、といったキーワードが並ぶ。

どれも目新しいものでは無いが、
「感性ポテンシャルを高めるために」
これらが重要であるという説明はとても腹落ち感が有った。

新規事業の創出や製品開発に携わる方だけでなく、
多くのビジネスパーソンにお勧めしたい書籍だ。

☆行動のヒント
・「未だないものの価値」への共感がイノベーションを加速させる
・差異とはポテンシャルである
・自身の「感性」を理解することも共感の第一歩

最後までお読み頂きありがとうございました!

宮木俊明

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