かつての日本には「寺子屋」という独自の仕組みがあって、
先生は子どもたちに一方的に教えるのではなく、
子どもたちはのびのびと自分の学びたいことを、
興味関心に基いて自由に学んでいたと言われている。

AI時代を迎え、多くの仕事が自動化されていく流れの中で
画一的に知識を詰め込む”だけ”の教育は有効ではなく、
「みずから進んで学ぶこと」「創造性を発揮すること」といった
能動的な姿勢を失わせてしまうようではむしろ害悪とすらなりうるだろう。

これからの時代に求められる学校教育、及び家庭教育には
どの様なモノが有るのだろうか?

山本崇雄(著)  日経BP社
『なぜ「教えない授業」が学力をのばすのか』
は、都立の中高一貫校で英語教諭という立場で
アクティブラーニングと呼ばれる
生徒の主体性を重視した「教えない授業」に取り組んだ著者の経験が詰め込まれている。

問い合を立て、それを探索し、そこで得られた学びをお互いに共有し合い、
振り返りをしながら次のアクションに繋げていく。
この共創学習の手法は、「現代版の寺子屋」として
私が普段行っている読書会とも非常に近似しており、
其の有効性を体感している立場としても、非常に共感する内容が多かった。

その中で、それを学校の授業という読書会等のイベントとは異なる
継続的にな場にそれを持ち込むと、どれほどの効果が有るのか。
地道に実践を重ねた結果、生徒に良い影響をもたらしたのみでなく、
教員同士のつながりも醸成するという、とても希望に満ちた成果が報告されている。

当然新しい手法を取り入れると混乱や反発もつきものの様で、
この辺りの苦労は、私が本業として新規事業開発を行う立場とも重なり、
これまた非常に共感できた部分だ。

本書を読んで、アクティブラーニングは素晴らしい手法だろうけれど、
「山本先生だからできたんだ」「両国高校の様な優秀な学校の生徒でないと」
「教えないなんて職業放棄だ」
等と、どうすれば出来るかよりも
できない理由、やらなくて済む理由を、
正当な意見として並べ立てる様な教育関係者もきっと沢山いるだろう。

AI時代に求められる教育関係者は
「どうすれば自分にも出来るだろうか?」
「これまで授業の良い所を残しながら、アクティブラーニングを取り入れるには?」
という能動的、積極的な姿勢を持った方々だと思うと同時に、
アクティブラーニング等を通じた自律的な学び方・働き方の獲得は、
前世代に求めらているのだと強く感じた。

人生100年時代は、
学びを楽しんだもの、
そして失敗を恐れず実践したものが、
より社会に価値をもたらす可能性が高く、
「教えない授業」はその力を育む確実な手法の1つとして
これからも参考にしていきたい。

☆行動のヒント
・興味関心を形にした「問いかけ」から全てが始まる。
・常識にとらわれず、答えを探求する中で得られた学びや気づきを共有し合う。
・得られた学びをしっかり振り返り、生活の中に実装していく。

最後までお読み頂きありがとうございました!

宮木俊明

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