共創、リデザイン、そしてコミュニティ。
これからは「繋がり」が社会課題を解決していく。

①共創

例えば、同業他社は競合ではなく、提供する価値を高めるパートナーである。
その為には「自分の顧客」ではなく「地域の顧客」と捉え直す事、
もしくは、目先の価値提供者は顧客でなくチャネルであり、
その先にある地域社会への貢献というレベルで考える視線、
これらが重要になるだろう。
囲い込みに腐心する事で自らの限界を設定してしまう、
そんな「自縄自縛」から解き放たれるには、
まさに競争から共創への変換に取り組まなければならない。

②リデザイン

業務独占資格であっても、そこに胡座をかいては
いずれその役割は自然と縮小し、失われていく。
そうならないためには積極的な破壊的イノベーションによる
リデザインに取り組む覚悟と、流れを先読みする感覚も重要となるだろう。
プロダクトライフサイクルのSカーブは、製品サービスだけでなく、
資格職業や産業レベルでも有効な視点が得られる。

③コミュニティ

医療、介護、福祉は誰しもが必要とするものではあるが、
これがコミュニティの本質や前提ではない。
まずは共感や楽しみをベースにデザインされるのがコミュニティの本質。
そしてその「ひとつの機能として」医療、介護、福祉を含めた
相互扶助があるという位置づけを意識したい。
また、これを効率化し加速させるものがITなどのテクノロジーであり、
代替するものでも相反するものでもない。

これらに共通するのは、問題解決=ギャップを埋める際に必要なのは、
人に寄り添い共感する姿勢などの感情的な要素と、
それを構造化・効率化し永続するモデルを構築する論理的な要素との両方が必要な事。
(記事「科学的手法だけではラチがあかない」もご参照ください)

「そんなの今更言われなくてもわかってる。言うは易し、行うは難しだろう。絵空事はやめてくれ」
そう思われたかもしれない。

でも大丈夫。
既に着実かつ継続性のあるレベルで、
「実践」をし続けている一級のイノベーターがいる。

6月17日(土)@日本橋ライフサイエンスハブ
ヘルスケアビジネスモデル2017」にて、
代表する3名のトップランナーと同じ日に同じ空間を共有するという
非常に贅沢な時間を過ごさせて頂き、
大げさでなく「日本は救われつつある」と感じた。

御三方とも臨床医でありながらその枠を超えたご活躍をされている。
在宅医療、薬剤師、地域包括ケアシステムといった分野に関心のある方だけでなく、
医療関係者全般、特に医師であれば必ず繋がって頂きたい。

悠翔会の佐々木先生

ハザマ薬局の狭間先生

東埼玉総合病院の中野先生

(ご講演順、上記①、②、③にも概ね対応)

そして昨日、ご参集頂いた70名もの素晴らしい皆様に深く感謝したい。
先生方も交えてのワークショップは非常に刺激的で
短時間でも初対面のメンバーでも、
共通言語=ビジネスモデル・キャンバスがあれば
アイデアを集約し形にして行くことが出来るという事を、
改めて感じ取って頂けていれば幸いだ。

本イベントを企画運営した「BMIAヘルスケア分科会」の活動では
山本伸さん、國井誠さんと共に、私も継続的にお手伝いをさせて頂いている。

会社も職業も地域も超えて「理念や方向性」だけの繋がりで
ココまでご一緒できたのは本当にありがたい事だ。
そして今回のイベントをきっかけに新しい仲間が
大阪、名古屋と地域を広げながら集まってきている。
この活動もいずれ「実践を続けるソーシャルイノベーター」としてご認知頂けるよう
楽しみながら続けて行きたいと思っているので、
ご興味の有る方には是非お気軽にご参加頂けたら嬉しい。

本イベントにて、冒頭にご登壇頂いた多摩大の真野先生は、
「イノベーションとは、あるべき姿と現実とのギャップを埋めることだ」
とおっしゃっておられた。
社会問題、特に医療や介護の現場は正にこのギャップの宝庫であり、
それ故に何から手を付けて良いか途方に暮れるような場面も少なく無い筈だ。

「誰を幸せにしたいのか」
こんな時、ビジネスモデル・キャンバスの一番右、
顧客セグメント(CS)に、
「誰のどんな場面での悩みなのか」を具体的かつ詳細に描いて行くことで、
切り口・打ち手が見えてくるかも知れない。

壮大な理想を実現するために、たった一人の課題を解決する所から。
その積み重ねがソーシャルイノベーションだし、
その小さな1歩が想定を越えた現実を引き寄せる所を、
これからも是非皆さんと共有していきたい。

☆行動のヒント
・イノベーションは1人では起こせない
・同業他社とのつながり、異業種とのつながり、地域でのつながり
・「想い」の共有とそれを支えるテクノロジー

最後までお読み頂きありがとうございました。

宮木俊明

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