海外諸国が抱える諸問題を考えるたびに、
「日本に生まれてよかった」
と思えると同時に、
「何かできることはないだろうか?」
と考えてしまう。

ただ、ここでいう「できること」は
自身の生活に大きな影響の出ない範囲で・・
という所に留まってしまっている。
当然、それほど多くの事は出来ず、
大したことも思いつかずで、
情報を入れても消化不良になりがちだ。

それでも尚、こういった情報に触れ、
消化不良を起こす事で自身の認識に変化を及ぼすことを通じて、
世界観や価値観が少しづつでも変わっていくことに、
多少なりとも意味が見いだせたらという希望を持ってもいる。

愛情の裏返しが「無関心」で有るならば、
「関心を持つこと」から始まる事は
想像以上に多いのではないかと。


アンドレイ・クルコフ(著) 集英社
『ウクライナ日記-国民的作家が綴った祖国激動の155日』
は、「革命」という激動の様々な側面に在る肌感覚が
淡々とした筆致で語られている。

私は本業の業務の中でウクライナの企業や人々と接する事があり、
本書の主な舞台でもあるウクライナの首都キエフにも何度も訪れている。

それらを通じて見聞きした風景に、
本書の描写が重なった時、
ウクライナの空が少し近くに感じられ、
心が苦しくなった。

私が特に注目したのは以下の様な点だ。

・非暴力
同国の歴史の中には
2004年に行われた大統領選挙への抗議として展開された
「オレンジ革命」がある。
これが平和的に進んだのに対して
本書で描かれる「マイダン革命」は暴力的な部分が大きい。

・腐敗
本来の主義主張ではなく、
大きな流れに加担することで利益を最大化しようとする
「火事場泥棒」の様な輩が想定を越える広範囲で存在している可能性が
本書に詳しい。
現政権が倒れた場合に、
現政権下で抑圧されていた「という事にしておく」事で
自身の罪や借金をもみ消そうとしたり、
あわよくば、現政権の既得権益者と目される者の私有財産を
不法に占拠するような行為がまかり通ってしまっている。

・権力の横暴
ウクライナに限らず混乱している国に特徴的なのが
公務員の不正の横行と、情報や言論の統制なのかも知れない。
現場レベルの警察官が不当に利益(リベート、ワイロ)を得ていたり、
政権が情報を遮断したりという事。
本書ではロシアの現状にも多少触れられているが
この辺りの視点が興味深かった。

ウクライナが語られるとき、
否応なしに、ロシア目線、ないしは欧州目線といった簡略化が図られるが、
実のところ、ウクライナの問題は本書で知れる範囲だけでも相当に複雑で
東西で分ければ済む様な問題では無いことが解る。

尚、余談となるが
ネット・ウヨクなる言葉が本邦には存在していて
このネット・ウヨクが本邦における現政権の支持基盤だ、
などと揶揄されることも有るそうだが、
少なくとも一部の国の様にネットを規制するどころか
利用し、アス種の推進をしているという点に置いて、
多少は健全で平和な国なのだと、
言えなくも無いのかも知れない。

☆行動のヒント
・知ることから使命感が生まれる
・社会的な事象からパターン認識を強化する
・答えがでなくとも「何ができるか」を考える意味を考える・・・

最後までお読みい頂きありがとうございました。

宮木俊明