私は、大学卒業後から5年間、葬儀社に勤務していた。
ご遺体の搬送、葬儀の打合せ、見積作成、式の司会進行等、
一連の業務の大半を一貫して、もしくは部分的に担当していた。
司会進行は年間に80件以上は実施していたので、
300件以上の葬儀の担当をしてきた事になる。
小規模な葬儀から1000名規模の参列があった大規模な物もあった。
加えて、部分的にお手伝いをした物も含めると、
おそらく2000件程度のご葬儀に関わった計算になりそうだ。
私の過去の経歴を話すと、
良く「なんで葬儀社に・・・?」と聞かれる。
人がやらないような事をやりたい、
稀少な経験をしたい、
稀少な経験をしたい、
死生観に興味がある、
等といった積極的(?)な思いも有ったが、
一番の理由は、
「シフト制で曜日問わずピンポイントで休暇が取れる」
という条件を満たしていた事で、
その上、正社員ということもあって
アルバイト等と比較すると収入が良かったからだ。
そして、何故ピンポイントで休暇をとる必要が有ったかというと、
当時はドラマーとしてバンド活動をしており、
月に3〜5本程度のライブ・ステージに
様々な曜日で出演していたからだ。
葬儀社での仕事は非日常の連続のため心労も多いし、
夜勤などもあって身体的にも大変だったが、
上司や同僚のご理解、ご協力もあり、
上手くバンド活動と両立できた事は重要だった。
上手くバンド活動と両立できた事は重要だった。
そして、「あいつはバンドをやっているから・・」
とだけは周囲に言われないように、
手を抜くどころか、前のめりに積極的に仕事に励んでいた。
そして、多くの場合、遺族の方々にとても喜ばれる
感謝される仕事でもあって、満足感もあった。
しかし、何回か、失敗をして
遺族の方々に御迷惑をおかけした事もあった。
遺族の方々に御迷惑をおかけした事もあった。
「やる気が空回りした」といえば聞こえが良いかも知れないが
完全に、私の人としての未熟さが引き金になった物もあった。
そこから多くの事を学ばせて頂いたが、
ご遺族の事を思うと、今でも悔やみきれない。
だからこそ、葬儀社とのやりとりの中で
嫌な思いをする人が一人でも少なくなることを
願わずにはいられない。
願わずにはいられない。
川上知己 著 日本経済新聞社
「葬儀社だから言えるお葬式の話」
は、タイトルの通り、
大阪の葬儀社経営者が書いた本だが、
一般に想定される葬儀の問題点や、
葬儀社とのやりとりの中で起こりうるトラブル
等々が上手くまとまっていて、
等々が上手くまとまっていて、
多くの方にとって参考になる筈だ。
・葬儀スタイルは多様化、簡素化の方向に向かっている
・「葬儀社任せ」には問題点が多い
・シンプルな「家族葬」にも注意点、問題点は多い
元・葬儀社社員の目線から見ても、
概ね納得できる内容だ。
そして、著者は葬儀社選定が
葬儀の良し悪しを決める重要な要素だと説いている。
かつての私の様な未熟者が担当になってしまう事も有り得ると考えると
究極的には、「葬儀施行担当者」まで選んでおけると最も安心だとは思うが、
現実には、それは難しい。
その為、会社単位での選定は、行きずりに任せてしまうよりは
現実的な範囲で有効な行為であることは間違いないと思う。
先日、死を考える事は「究極の目標設定」であるといった記事も書いたが、
親や家族の葬儀、では無く、
自分の葬儀をどの様に、どんな人によって執り行って欲しいか。
考えてみることは、とても有益な事だと思う。
★行動のヒント
・葬儀も人生も「何を大切にするか」を考える
・見栄、世間体といったモノから、本質的に価値のあるモノを重要視する姿勢は
あらゆる所で感じられる「大きな流れ」である
最後までお読み頂きありがとうございました。
宮木俊明
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