~「イノベーション」に着せられた汚名を晴らすには?~

かつて「イノベーション」という言葉は技術革新と訳されていた。
皆様が御存知の通り、これは明らかな誤訳、少なくとも不十分な訳だろう。

本来的には、技術だけではなく、モノ・仕組みなどに対して
「それまでとは全く新しい技術や考え方」を取り入れて、
新たな価値を生み出すことで、
「社会的に大きな変化を起こすこと=革新」を指していた筈だ。

あらゆる変化が加速の最中に有る昨今、
これまでのやり方では通用しなくなる場面も当然急増した。

それに呼応するかの様に、イノベーションがあらゆる業界で強く求められる状況となり、
現在ほとんどの会社が、それを標榜する事となった。

そんな中、トップから現場に押し付けれた「イノベーション」が、
何とか「達成されなければならない」という使命感を帯びてしまった結果、
現場の責任回避を指向したお得意のカイゼンの積み重ねにより、
「革新的な何かでなく軽微な改善もイノベーションに入れていいことにしよう」という、
残念な「定義の変更」が起こってしまった様に見える。

これにより、技術革新という誤訳からこそ解放されたものの、
逆に行き過ぎてしまい、大きな誤用が氾濫する有様に。

「イノベーション」の誤用として、
新規事業の立ち上げ、新技術の導入、
既存リソースの見直しや組み換え、
協力関係の構築、などなどについて、
様々場面で「便利な言葉」として用いられてしまっている。

ちなみに、中国語では「創新」と書くそうだが、
単に新しいもの創り出すだけでなく、
それに触れた人(多くの場合は顧客)の生活スタイルや思考認識が
大きく変化するような現象を引き起こすことが、
イノベーションの本来的な意味だったはずなのにだ。

もしかしたら、
これらも価値の提供側からするとイノベーティブなアクションなのかも知れない。

しかし、少なくともそれを対外的に謳うからには、
それが価値の受け手にとってどの様に受け止めらられるかを捉えてからでないと、
本来の意味としての「イノベーション」なんて言葉はおいそれとは使えないはずなのだが。

「イノベーション」に着せられた汚名を晴らすには?

そこで、僭越ながら「イノベーション」の純度を高めるべく、
以下のような定義を思いついたので共有させて頂きたい。

「真のイノベーションとは、それ以外の言葉で置き換えることのできない、革新を孕んだ何かの事である」

いかがでしょうか?

☆行動のヒント

・受け手について考える
・イノベーションは技術革新だけでなく、また、必ず意識革新が伴う。
・プラスチックワードに注意

最後までお読み頂きありがとうございました!

宮木俊明

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